オニキス

オニキスの図鑑イラスト

(図鑑イラスト:博物画風・AI生成)

図鑑データ

項目 内容
和名 縞瑪瑙(しまめのう)。建材業界の資料では黒瑪瑙(くろめのう)の表記も見られる。同じ石を指す表記のゆれ
英名 Onyx。古代ギリシャ語のὄνυξ(オニュクス)=「爪」から来ている
鉱物グループ カルセドニー(玉髄)の一種。カルセドニーは、肉眼では結晶が見えないほど細かい石英の粒が集まってできたもので、化学式はSiO₂。水晶・アメジスト・シトリン・スモーキークォーツと同じ石英の一族にあたる。アゲート(瑪瑙)のうち、縞が同心円や波ではなく平行に走っているものがオニキス
モース硬度 6.5〜7。水晶とほぼ同じ硬さで、ムーンストーン(6〜6.5)やターコイズ(5〜6)より硬い。パワーストーンの中では丈夫な部類
色・見た目の特徴 本来は、黒地に白の縞が平行に入ったもの。赤褐色と白の縞は「サードオニキス」と呼び分けられる。今、市場に並んでいる「ブラックオニキス」の多くは縞のない一色の黒で、その黒はほとんどが染めた色(下の注記へ)
主な産地 アメリカ、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、チェコ、フランス、ドイツ、イギリス(スコットランド)、中国、インド、インドネシア、イエメン、マダガスカル、オーストラリア、ロシアなど。世界各地で採れる、手に入りやすい石とされる
誕生石(何月) —。全国宝石卸商協同組合が2021年に63年ぶりに改定した公式の誕生石29種に、オニキスは入っていない。8月の公式の誕生石はペリドット・サードオニキス・スピネルの3石で、入っているのは近縁のサードオニキスのほう。米国(GIA)でも8月はこの3石

呼び名の注記 「オニキス」という一つの名前の下に、本来の定義と、今の市場の呼び方がずれたまま並んでいる。

本来のオニキスは「黒地に白の縞」の石。アゲート(瑪瑙)は縞の入り方がいろいろで、その中でも縞が平行に走っているものだけをオニキスと呼んできた。ところが今の宝飾・パワーストーン市場では、縞のない一色の黒いカルセドニーも「オニキス」「ブラックオニキス」と呼んでいる。本来の定義からすると「縞のないオニキス」は妙な言い方だけれど、この呼び方が商業的に広く定着している。

その黒は、ほとんどが染めた色。天然のまま真っ黒なカルセドニーはとても珍しい。市場に出ているブラックオニキスの大半は、灰色っぽいカルセドニーを糖蜜(砂糖水)に浸してから酸で処理して、黒く発色させたもの。GIAをはじめ主要な鑑別機関は、これを安定した公認の処理として扱っていて、鑑別書に「おそらく染色」と記載するのが通例になっている。偽物という話ではなくて、それが今のオニキス市場の当たり前。ただ「天然のままの黒」だと思って買うと、話が違ってくる。

建材の「オニキス」は、名前が同じだけの別の石。オニックスマーブル・縞大理石とも呼ばれる石材で、こちらは炭酸カルシウムでできた方解石(カルサイト)。温泉水などから沈殿してできる石で、宝石のオニキス(石英の一族・SiO₂)とは化学組成からして別もの。

サードオニキスは、赤褐色と白の縞を持つ近縁の呼び名。8月の誕生石として公式に扱われているのは、オニキスではなくこちらのサードオニキス。名前が似ているので混同されやすい。

ここで書いているのは、名前がどの定義・どの石を指すかの整理まで。目の前の石が染色されているかどうかの見分けには踏み込まない。

取り扱いの注意(鉱物としての物理的な事実)

出典


石の物語

ひとこと

お店に並んでる真っ黒なオニキス、あの黒はほとんどが染めた色なんだって🪐

呼ばれる場面

石言葉

石言葉は「忍耐」「成功」とされる。

由来

名前の意味は「爪」。古代ギリシャ語のὄνυξがそのまま英語のonyxになった言葉で、ピンクがかった白い縞が、人の指の爪——特に根元の白い三日月のところ——に似ていたから、と英語版WikipediaもEtymonlineも同じことを書いている。

この石の縞は平行に走っている。だから層に沿って彫っていくと、下の色と上の色がくっきり分かれる。古代からカメオ(浮き彫り)やインタリオ(沈み彫り)の材料として重宝されてきたのは、この構造のおかげ。彫刻の道具としての石だった。

赤褐色の縞を持つサードオニキスには、もっと実用的な使われ方があった。表面に蝋がくっつきにくい性質があったので、古代ローマで封蝋を押す印章指輪(シグネットリング)の石として選ばれていたとされる。4000年以上前からの利用の歴史があるという紹介もある。

ちなみにプリニウスの『博物誌』には、職人が「ある石を別の石に見せかける技術を見つけた」という趣旨の記述が残っているとされる。石の色を人の手で変える話は、ずいぶん古くからあったらしい。

旧約聖書の出エジプト記には、大祭司の肩当てと胸当てに「オニキス」と訳される石が出てくる。ただ、元のヘブライ語(שֹׁהַם/ショハム)が今でいうオニキスと同じ石なのかは、学者のあいだで決着していない。ギリシャ語の七十人訳では、その箇所が緑柱石系を指す言葉に訳されている例もある。

今、伝わっている意味

現代のパワーストーン文化では、「魔除けの石」「自己防衛の石」として語られている。人の悪意やネガティブな空気から持ち主を守る石、という説明が日本語のページでいちばん多い。英語圏のクリスタルヒーリング系では、地に足をつけるグラウンディングの石として、その筆頭に挙げられることが多い。あわせて、自制心・集中力・忍耐力を高める石という語られ方も定着している。

由来のように語られている物語が2つある。眠るヴィーナスの爪をクピドが矢先で切って、その欠片がインダス川に落ちて石になった、というギリシャ・ローマ風の神話。それと、ローマの兵士や将軍が軍神マルスを彫ったオニキスの護符を戦場に持ち込んで、勇気と集中力を得たという話。どちらも現代の宝飾系・パワーストーン系のページで繰り返し紹介されているだけで、古代の文献や記録までは行き着かなかった。名前の意味が「爪」だから、あとから物語のほうが寄ってきたのかもしれない。

近縁のサードオニキスは、赤と白の縞が陰陽の調和に見立てられて「夫婦円満」の石言葉で紹介される。オニキスとは石言葉が別ものになっている。

石のちから

持ち方・使い方

こんな人に

組み合わせ

言い伝え 古い言い伝えとして残っているものは見つからなかった。

うちゅうさんの組み方

浄化・チャージの言い伝え

水晶クラスターの上に数時間置く方法、月光浴、塩を使う方法が定番として紹介されている。流水や水に浸ける方法をすすめているページも見かけるけれど、市場のオニキスの多くは染めた黒。水に長く浸けると色が落ちることがあるから、乾いた方法を選んであげてね。

うちゅうさんのひとこと

人から自分を守るのって、けっこう体力使ってるんだよ。今日はそれだけでもう、じゅうぶんがんばってる。


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